Classici giapponesi con furigana
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ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Leggi ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.411 caratteri · 263 schermate
私達は自分の内部を、自分の周囲を眺めたとき……」
彼はその頁の下段にある写真に視線をうつした。紙質のせいで、それはぼやけて印刷されていた。しかしそれは確かに彼自身の写真であった。あの時中山が写した、下駄をはいてぼんやり立っている彼自身の写真であった。彼のうしろには病棟の一部がぼんやりと写っていた。彼は急につめたい苦笑いが胸にのぼってくるのを感じた。
(中山にしては、上出来な洒落だったな、こいつは)
頁を伏せてその雑誌をもとの場所にもどすと、彼は頬にかすかな笑いを刻んだまま、歩き出した。電車の中で雑誌を読むより、外の景色でも眺めている方が、今はよさそうな気がした。
彼の眼の前で踏切の遮断機がその時するすると下りた。彼は紙袋を持ちかえながら、暫く立ち止った。やがて電車が近づいてきて、その青黒い車体が轟と彼の眼の前を奔りぬけた。車体の速度が引きおこす突風が、その瞬間彼の顔にはげしくぶつかった。その風は、鉄の臭いがした。彼はすこしよろめいた。