Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ボロやのしゅんじゅう

ボロ家の春秋

梅崎 春生

Leggi ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.411 caratteri · 263 schermate

Aozora Bunko

佐渡が追い打ちをかけるように言った。

「見ているとあぶなっかしくて仕様がない。同じ方向なんだろ」

「そうですか。送ります」

矢木は答えた。矢木は彼や佐渡よりは、ずっと若い。絵描きの卵だ。飲めないたちで、酔っていなかったようだ。顔色が蒼白い。

外に出ると、夜風が顔につめたかった。矢木が手を貸そうとするのを断って、自分で歩いた。直角になんて歩いてたまるかという気持があって、ずんずん歩いたつもりだが、やはり時々足がもつれた。矢木は服の襟を立て、二三歩あとからついて来た。

新宿駅まで十分ぐらいかかり、表口で調子よくタクシーが彼の前にとまった。車の形を見て、彼は安心して、自分の体を荷物のようにどさりと座席に放り込んだ。矢木が続いて乗り込んだ。自動扉がすっと動き、がちゃりとしまった。彼は言った。

「N方面にやって呉れ」

かんたんに道順を説明したが、運転手は返事をしなかった。車は動き出した。かすかな不快が彼の中で揺れ動いている。近頃の運転手は、行先を告げても、ろくに返事をしない。でも、人間はなまじ口をきき合うから、話がもつれたりするので、判っていさえすれば返事はない方がいい。