Classici giapponesi con furigana
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ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Leggi ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.411 caratteri · 263 schermate
で、俺は床に入ったのだ。もう日は暮れていたが食慾はなかった。女房は枕許で針仕事を始めるらしい。リュックはそのまま床の間に置いてあった。俺は蒲団に顎までふかぶかと埋まり眼を閉じた。そして今日のことを考えていた。
妙な話だが、おっさんのリュックをかついで来たことについて、俺は何の背徳感も感じていなかったのだ。気持の抵抗も全然なかった。俺は自分の持物のようにリュックを易々と掠めていたのだ。これはどういうことだろう。そう思うと俺はちょっと惑乱した。またあのおっさんの手が必死に俺の外套を掴もうとした時、俺は手荒くそれを払いのけた。それは意識してやったのか。意識してやったような気もするし、無意識の行動だったような気もする。しかし俺は覚えている。あの時一緒に転落しようとしたリュックを脚で押えたのは、あれは確かに俺は意識的だったのだ。
あのおっさんはどんな家庭を持っているのだろう。どんな女房や子供を持ち、どんな家に住んでいるのだろう。あんな気紛れな義侠心を起した代償に彼が得たものは、ひとつの外套の釦と、それと非業の死だ。他人の同情すら捷ち得なかった。今俺の頭の中で、あのおっさんと、殴られた会計係と、ケラケラ笑い続ける娘と、お前と、それから俺を取巻く色んな人と、俺をも含めた一つの系列が、平面の中の構図として、俺に働きかけ