Classici giapponesi con furigana
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ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Leggi ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.411 caratteri · 263 schermate
一時間足らずの中に俺は皆売り尽して相当の金を得た。予想よりもずっと大きな金額だった。俺はそれから又船橋に出かけ、蜆を買って来た。今日も既にさばいて来たのだ。この空のリュックがそうよ。――これで話はお終いだ」
男は言い終ると顔をあげ、翳の多い笑いを頬に浮べた。
「――お前が言う程の面白い話でもなかったが、しかしまあ退屈はしなかったよ」と僕が言った。「お前の新しい出発について、俺はこの冷えた珈琲で乾杯しようと思うよ」
「待ってくれ」と男は手をあげた。「もう彼岸も遠くないし、俺もこんな鎧は必要じゃない。俺は今からこの外套を売払おうと思うのだ。そして今夜はお前と一緒に飲もう。乾杯はその時まで延ばせ」
「それも良いだろう」と僕は答えた。「全くお前は良い処に気がつくよ。しかし売るについては、その前にその外套を、も一度だけ俺に着せてくれないか」
僕は男が脱いだ外套に手を通してみた。あの柔かい重量感がしっかりと肩によみがえって来た。僕はポケットに手をつっこんだ。何か堅い小さなものが幾つも指にふれた。
「蜆だ」
取り出して卓に並べると十箇ほどもあった。それから気付いて男は自分の背広のポケットを探ったら其処からも出て来た。