Classici giapponesi con furigana
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ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Leggi ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.411 caratteri · 263 schermate
しかしそれが伸びて、再び電線をさまたげるまでには、あと少くとも七八年はかかるだろう。そしてその時には、もう古畑老人も生きてはいないだろうと思われる。古畑が生活保護法を受けているのも、心臓がひどく悪くて、そのお蔭だという話だから。
古畑が人と顔を合わせると、何かとがめるような眼付きになるのも、この心臓病と関係があるのだと私は考えている。科学的根拠もなく、ぼんやりそう思うだけだが、つまり外界からの刺戟を拒否する気持が、そんな擬態を彼にとらせているのだろう。古畑の前歴(どんなものかは知らないが)が、そんな眼付きを彼に植えつけたとも考えられるが、それにしてはあの四角な眼は、どこか無意思な色をただよわせていすぎる。
古畑は一日中、家にじっとしている。ほとんど外出しない。家にいて、のろのろ動きながら、庭の手入れをしたり、小鳥の世話をしたり、そんなことだけで一日を過している。古畑家の庭は猫の額ほどの広さで、そのかわり私の庭とちがって、徹底的に整備してある。その黒い土は完全に踏み固められ、雑草などは全然生えていない。それこそ一本も生えていない。庭のすみには一列に、草花の鉢がならんでいるが、その花々も、不要な枝や葉を丹念に払い、ぎりぎりにいためつけて、ほとんど一輪ざしみたいな風に仕立ててある。