Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ボロやのしゅんじゅう

ボロ家の春秋

梅崎 春生

Leggi ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.411 caratteri · 263 schermate

Aozora Bunko

モグラにしては大きすぎるし、そこだけ草が生えていないし、少しおかしいとは思ったが、まさか畠のウネとは、その時は気付かなかった。しかしそれから半月ほど経って、再びそれを見た時には、その隆起の筋は三本に殖えていて、食用になりそうな柔らかい植物が、そこらにずらずらと密生していたのである。私の庭にこんなものが生えようとは、予想もしていなかったので、すこしは私も驚く気持にもなった。しかしそれらが生えてくるのを妨げる理由は、私にある筈がない。

生えるなら、生えてもいいのである。私はその小部分を引抜いて、朝のおつけの実にして食べてみた。しかしその葉はまだ稚すぎたと見えて、歯ごたえがほとんどなく、それほど旨くはなかった。そのくせ細い繊維が、しきりに歯の間にはさまった。妻楊枝でそれをほじくりながら、あのウネの長さも更に伸び、数も三本から五本と殖えてくるだろうということを、私は漠然と考えたが、その感じも奥歯にはさまったような具合で、どうも歴然としなかった。あの畠のウネのことも、いつ耕され、いつ種をまかれたのかも、私は見ていないから、知らないのである。

今は十月。庭にむかって縁側に坐し、視界に入る庭樹を、左側からあげてみると、百日紅、朝鮮松、サンショウ、柿(小さな実が二つなっている)、樅、青桐、椎の木、桜の木、モミジの木。