Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ボロやのしゅんじゅう

ボロ家の春秋

梅崎 春生

Leggi ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.411 caratteri · 263 schermate

Aozora Bunko

ただ声を聞いているだけで、どんな顔の、どんな身なりの少年かは、ぼくは見たことがありません。でも、少年が友達を呼ぶ声は、その抑揚や発声法には、一種の感じがありますねえ。

「亀田クーン」

のクーンにアクセントをつける。春の日の昼下りに、竿や竿竹、の呼び声を聞く時や、夜更けに耳に届いて来るチャルメラの響き、そんなのと趣きは違うけれど、何か郷愁を伴ったような、妙な哀感がある。

その少年の声が、この間からすこしずつ変って来ました。もちろん呼び方や抑揚は同じですが、声の質が変化したわけです。以前は澄んでよく徹る声だったのに、妙に濁って乾いて来たのです。

「ははあ。奴さん。風邪を引いたんだな。早く薬でものんだらいいのに」

画業を続けながら、あるいは即席ベッドに寝ころびながら、ぼくはそんなことを考えていました。

「ひどくなると大変だぞ。学校じゃワクチンなんかやって呉れないのか」

ところがそれは、風邪じゃなかったんですな。声変りだったのです。風邪声にしちゃ、少々野太いと思った。風邪ならやがて直るのに、この濁りはなかなか取れないだけでなく、そのまま定着して行く傾向がある。