Classici giapponesi con furigana
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ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Leggi ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.411 caratteri · 263 schermate
「君、これ、画かね? わしにはどうも画とは思えんが」
赤木医師が散歩の途中、時々ぼくの家に立寄るようになったのは、その時からです。時には一時間も二時間も縁側に腰をおろして、話し込んで行くこともある。話題はおおむね世間話や昔話など。アメリカで皿洗いをした話なんかは、五度か六度か聞きました。しゃべるのは大体老先生の方で、ぼくはいつも聞き役です。立ち去る時、必ず彼はぼくに忠告する。
「こんな妙な建物の中で、そんな画ばかり描いてちゃ、甚五みたいになるよ。悪いことは言わない。魚釣りをやりなさい。魚釣りを!」
ぼくは別に老先生の来訪を歓迎するわけじゃないが、さりとて迷惑というほどのこともない。ただ話を聞いていればいいのですからねえ。忠告に対しては、黙ってわらっていれば済む。
で、その甚五のことですが、老先生は彼を快よくは思っていない。彼と言うより、彼一家と言った方が正しいかも知れません。なぜかと言うと、老先生が推した病院に甚五は入院せず、他の病院に入ってしまったからです。こういう点、医者というものは、案外神経質になるもののようですな。ことに赤木医師は性格が性格だから、ひどく自尊心を傷つけられたように感じたらしいのです。