Classici giapponesi con furigana
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ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Leggi ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.411 caratteri · 263 schermate
亀田君がなかなか出て来ないと見えて、声は跡切れながらも呼びやめない。いつもこの声を聞いているが、一体どんな少年なのか。ふっと好奇心が起きて、ぼくは椅子を壁際に運び、その上に乗って背伸びして、明り窓から外を見た。するとそれが平和だったんですな。悪いことには、いや、悪くも良くもないけれど、きょろきょろしていた平和の視線とぼくのがぴったり出会ったんです。平和はぎょっとしたように体を硬直させ、亀田君呼出しを中止し、百七十センチの体を曲げるようにして、一目散に逃げて行きました。へんな窓からぼくの顔がぬっと出て来たので、驚いたのかも知れません。
「ああ。あれは平和だったのか」
椅子から降りながら、しばらくぼくは笑いがとまりませんでした。
「なるほど。あいつならそろそろ声変りするのも当然だ」
その平和がどうもぼくにある種の感情を持っているらしい。いつからその感情を持ち始めたのか、あるいは何の原因でそんなことになったのか。
この間のことです。老婦人に頼まれて、母屋で飼っている犬を連れて散歩に出かけ、中学校の傍を歩いていると、校庭の方からヒュッと音がして野球のボールが飛んで来た。