Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ボロやのしゅんじゅう

ボロ家の春秋

梅崎 春生

Leggi ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.411 caratteri · 263 schermate

Aozora Bunko

「実は僕も及ばずながら、芸術家のはしくれです」

「ほう。ほう」と陳さんは感嘆の声を上げ両掌をかるく打ち合わせました。「して、どの方面の芸術で?」

「絵画です」

そして僕は自分の所属団体や現在までの業績について、ささやかな説明をこころみました。すると陳さんはすっかり感激して、もっと飲みなさいもっと飲みなさいとコップに老酒を注いで呉れ、以後友人としてつき会って欲しいなどと言う。がらりとかわった歓待ぶりになったものですから、野呂はそれを見て面白くなくなったのでしょう。僕らのやりとりをしばらく横目で睨んでいましたが、頃あいを見はからって、ぐふんとわざとらしい咳をして、おもむろに、

「僕も小説を勉強して、今までに十編ばかり書きましたが、なかなかうまく行かないものですなあ。ハッハッハア」

と突拍子もない笑い声をつけ加えました。すると陳さんは且つは驚き、且つは相好をくずして、芸術家がかくも一堂に会するはめでたいことだなどと言いながら、野呂のコップにもせっせと老酒を注いでやりました。野呂はすっかり面目をとり戻して、にこにこしながら老酒を舐めています。昨夜の引越し祝いとは打ってかわり、陽気は堂に満ち、飲むほどにいささかの躁狂的な傾向もあらわれて来たようです。