Classici giapponesi con furigana
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ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Leggi ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.411 caratteri · 263 schermate
野呂の側にしても同じことでしょう。僕にはその頃から自分の毎日々々が、むしろぎっしりと充実して来るようにも感じられて来ました。
そして僕の所属する絵画団体の展覧会がだんだんと近付いて来た。僕はあれこれと題材に迷った揚句、ついに野呂の顔をテーマにして制作を開始したのです。しかしやはり芸術というものは、憎悪を基調としては成立出来にくいようですな。それでも根気よく塗り直し塗り直ししているうちに、画面の野呂の顔がしだいにふやけて、妙な抽象体みたいな面白い形になってきたのです。そうすればもうしめたものですから、僕も大いに張り切って制作をつづけて行きました。陳根頑から重大な速達が来たのは、丁度その頃のことです。
ある土曜日の午後、僕は画布を前にして、レモンイェローの効果に苦心惨憺していますと、速達、という声がして、一通の手紙がヒラリと舞い込みました。裏を返すと、渋谷・陳根頑と記してある。宛名は僕と野呂の連名です。急いで開封して見ますと、これが達筆の候文です。候文が書けるなんて、器用な台湾人もあればあったものですが、その内容がまた僕を驚かせた。この家を売却したいというのです。