Classici giapponesi con furigana
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ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Leggi ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.411 caratteri · 263 schermate
次の瞬間、人差指と中指にはさまれて、革の財布が無雑作に引き出されて来たのです。僕の心臓は大きくドキンと脈打って、少々きたない話ですが、不覚にも下半身においてある種の生理現象を、ほんのちょっぴりとではあるが起したくらいです。僕は小さい時から大へん緊張すると、とたんにそういう現象をおこす因果な癖があるのです。黄昏時の車内だし、新聞紙にもさえぎられているし、おそらくそれを見たのは僕だけでしょう。当の不破ものんびりした表情で窓外薄暮の風景などを眺めています。そして財布を抜き取った手の持ち主は、徐々に身体をずらして、出口の方に移動して行くらしい。僕は思わず不破の膝頭をこつんとこづいた。
何故、どんな心算で、僕が不破の膝をこづいたか。正直に言ってそれは社会的な正義感というものではなかったようです。言うならばお節介ですか。そんな気合いだと言った方が正しい。僕は生れつき相当のオセッカイ屋で、他人との関係にもこれなくしては入れなかった。でも、大ざっぱに言えば、人間と人間とを結び合うものは、愛などというしゃらくさいものでなく、もっぱらこのオセッカイとか出しゃばりとかの精神ではないでしょうか。