Classici giapponesi con furigana
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ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Leggi ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.411 caratteri · 263 schermate
一本のビールを飲み終えて二本目を頼もうとすると、彼はそっと僕の袖を引っぱって言いました。
「実はあたしゃねえ、ビールよりは焼酎の方がいいんだ」
他人から御馳走になるには少しでも高価なものを望むのが人情なのに、安い方を望むとは何という恬淡で奥床しい人柄でしょう。まったく当代まれに見る見上げた税務吏員です。そこで僕も感動して、早速焼酎二杯にオムレツ二つを注文しました。彼は焼酎のコップを舐めながら僕に訊ねました。
「あんたはさっき警察から出て来たようだったが、何か呼出しでも受けたんかね」
「いや。そら、あなたも知ってるでしょう、不破数馬の件でね」
「ああ、あんたの家の名義人だね。それでどうしました。居所が判明しましたか」
と彼は鞄を押えて、ぐっと半身を乗り出して来ました。焼酎は飲んでいても、その服務意識の旺盛さにはすっかり感心しましたが、その時僕はふとこの徴収員にすべての経緯を打ち明けて、相談してみようかという気になったのです。それはいささかの酔いのせいでもあったが、それと同時にこの人物に対する信頼の念からでもあったのでした。
「実は僕が不破数馬という男と知合いになったのは、こういうきっかけなんですよ」