Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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リラのてがみ

リラの手紙

豊田 三郎

Leggi リラの手紙 (リラのてがみ) di 豊田 三郎 (とよださぶろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.702 caratteri · 30 schermate

Aozora Bunko

彼は先ず押入のなかに頭を突込んで黒いトランクを引き出した。古いハンドバックや、手袋や、ビイズの財布や、香料の空瓶などと一緒に出て来た一束の手紙と写真帖を、これだと丹念に調べると、写真帖は前に見た通り、青江の小さい頃からのスナップばかりであったが只一つ最後に久能の学生服姿の八ツ切が新らたに張られ、日附が認められていて、その日附は久能にもすぐに思い当った。青江はやはり俺を愛しているのだ、とそれから手紙を読み始めたが、その中にも青江に味方する手紙があったきりだった。それは青江から女の友達にあてて書かれたもので、その封を切ると、青江が久能から疑われて苦しんでいる様が説かれ、死んで了いたいと記された、青江のように文章の拙ない訴えには、奇妙な切実さがしみ出ていて久能の心を打たずにいなかった。併しこの手紙を出さなかった裡には何か青江の良心に影があるのだと復疑い久能が手紙を束ねかけるとばらばらと四、五枚の便箋が落ちたので、取りあげてみると、金線で縁どった立派なもので××ホテルのしるしがあった。久能は何の気もなく、凝ったものだなと思っただけで、そのままトランクに投げ込み、それから、帽子の函や、茶箪笥の抽出しや、雑誌の間や、下駄箱まで血眼にひっかきまわし、万一青江の不純を裏書きするようなものが出て来たらという怖ろしさに止めよ