Classici giapponesi con furigana
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ヴァリエテ
ヴァリエテ
宮本 百合子
Leggi ヴァリエテ di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 5156 caratteri · 11 schermate
「――この前お目にかかったの、いつ? 聖マルグリットの音楽会のときじゃなかって?」
「三月経ちますね」
「早いこと」
楓の体をおさえて絹子も窓枠によりかかっている。おかっぱの娘の小さいぱっとした桃色と、絹子の黄がかった単衣姿とが逆光線を受け活々した感じで佳一の目を捕えた。
「榎氏もお変りなしですか」
「え、ありがとう」
大きい眼と唇に一種の表情を浮べながら、
「あのひと、いつだって鉄騎士よ」
「お出かけ?」
「ええ」
榎は、商用でフランスへ半年ばかり行って来た。帰った当座は、絹子を連れて晩餐をたべに出かけたり、若い者を招んで、ダンシング・パアティを開いたりした。しかし、それは、ほんの一時のいわば榎の出来心で、フランスの僅か半年の影響が彼の感情から消えると同時に、榎は、もとの謹直一方の、やや退屈な良人に戻った。
花火の散った後のような心持で、絹子は、日常生活の詰らなさを、一層強く感じているらしかった。
「私のピアノだって、あなたのお姉さまのなすってらっしゃるお心持とは大分違うわ。和子さんなんか 本当にお好きで、天分もおありんなって、本ものになろうとしていらっしゃるんだからいいけれど、私なんぞ、外にすることがないし、したくったって出来ないから、まあ憂さ晴しみたいなもんなんですものね」