Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いちにんならじ

一人ならじ

山本 周五郎

Leggi 一人ならじ (いちにんならじ) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.312 caratteri · 21 schermate

Aozora Bunko

……わたくしは片足を失った、それがふたしなみだという噂も聞いている、だが、……こういうことはわたくし一人ではない」

「…………」

「戦場では幾十百人となく討死をする、誰がどう戦ったか、戦いぶりが善かったか悪かったか、そういう評判は必ずおこるものだ、わたくし一人ではない、なかにはそういう評判にものぼらず、その名はもとより骨も残さず死ぬ者さえある、そしてもののふの壮烈さはそこにあるのだ」

そう云いきって大助は声をのんだ、つきあげてくる感動を抑えているのであろう、膝の上にある拳が見えるほど固くにぎり緊められていた。

「家へお帰りなさい……」

暫くして彼は平生の声にかえって云った。

「一年まえから栃木家の嫁だったという、その言葉が本当なら家へ帰ってください」

「でもわたくし……」

「いや帰らなければいけない、なぜなら」云いかけて大助は身をひねり、とりひろげてある鎧作りの道具のかげから、長さ三尺ばかりの太い杖のような物をひき出して見せた。

「これがなんだかわかりますか」

「…………」初穂にはわからないので、そっとかぶりを振った。

「……足です」

「足とおっしゃいますと」

「この右足を継ぐのです」