Classici giapponesi con furigana
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ひとつぼかん
一坪館
海野 十三
Leggi 一坪館 (ひとつぼかん) di 海野 十三 (うんのじゅうざ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 27.902 caratteri · 56 schermate
「しようがないよ。矢口家一軒だけじゃない、よそさまもみんな同じだからね」
「それはそうですけれど……」
「わたしなんか、しあわせの方だよ。だってさ、源ちゃんのおかげで三輪車にのせてもらって生命は助かるし、大事な御先祖さまのお位牌や、重要書類だの着がえだのは、こうして蒲団にくるんでわたしのお尻の下に無事なんだからね。だから大したしあわせさ」
「ほんとうに私たち運がよかったんですね。行手を火の手でふさがれて、もうこんどは焼け死ぬかと思ったことが四度もあったんですがねえ」
「みんな源ちゃんのお手柄だよ。あわてないで、正しいと思ったことをやりぬいたから、急場をのがれたんだよ。しかし源ちゃんは気の毒ね。わたしをすくってくれたのはいいが、そのかわり源ちゃんの持ち物はみんな焼いちまったんだろう」
「ええ、そうです。着たっきり雀というのになりました。もっともお店のためには、この車一台をたすけたわけですが、店の連中はどこへ行ったんだか、誰も見かけないんで、私は気がかりでなりません」
「どうしたのかね、ひょっとすると、逃げ場所が悪かったんじゃないかね。濠の中にずいぶん死んでいるというからね」