Classici giapponesi con furigana
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ひとにぎりのかみのけ
一握の髪の毛
田中 貢太郎
Leggi 一握の髪の毛 (ひとにぎりのかみのけ) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6548 caratteri · 14 schermate
「昼間出ようとすると、痴なことを云うものだから、撲りつけてやったのだ、あいつ、この比、よっぽどヒステリーだから、剃刀を持ってかかって来るのだ」
「剃刀を持って、そいつは困ったね、だが、あなたが浮気をするからでしょ」
「どうして、この比は雑誌の方がいそがしくって」
「その雑誌がいけないわ、女の雑誌じゃ、それでなくっても浮気ものだから」
「痴」
「まあ、坐ったら、どう」
年とった女の声には潤おいがあった。章一は気が注いて坐った。
「ゆっくりしちゃいられない、すこしみょうなことがあったから」
「どんなことなの」
「今晩、目黒の前の方へ往って遊んでると、麻のハンケチへ髪の切ったのを包んで、木村章一に渡してくれって、女が来て置いてった、あいつが知ろうはずはないが、昼撲りつけてあるのだから、後をつけて来て、つきとめといて、そんないやがらせをしたかも判らないのだ」
「家を出たのは幾時なの」
「十二時だ、それから目黒の方へ往って、遊んでて、髪を持って来たのが九時比だ」
「九時比に目黒のさきへ往ったと云うのは時間が逢わないが、女と往ってよろしくやってたから、何人かが悪戯をしたのじゃないの」