Classici giapponesi con furigana
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いっとう
一灯
Leggi 一灯 (いっとう) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 3052 caratteri · 7 schermate
兄は、そう言ってハンケチで顔の汗を、やたらに拭いた。
おでんやでも、大騒ぎであった。モオニングの紳士が、ひどくいい機嫌ではいって来て、
「やあ、諸君、おめでとう!」と言った。
兄も笑顔で、その紳士を迎えた。その紳士は、御誕生のことを聞くや、すぐさまモオニングを着て、近所にお礼まわりに歩いたというのである。
「お礼まわりは、へんですね。」と私は、兄に小声で言ったら、兄は酒を噴き出した。
日本全国、どんな山奥の村でも、いまごろは国旗を建て皆にこにこしながら提燈行列をして、バンザイを叫んでいるのだろうと思ったら、私は、その有様が眼に見えるようで、その遠い小さい美しさに、うっとりした。
「皇室典範に拠れば、――」と、れいの紳士が大声で言いはじめた。
「皇室典範とは、また、大きく出たじゃないか。」こんどは兄が、私に小声で言って、心の底から嬉しそうに笑い咽んだ。
そのおでんやを出て、また、別のところへ行き、私たちは、その夜おそくまで、奉祝の上機嫌な市民の中を、もまれて歩いた。提燈行列の火の波が、幾組も幾組も、私たちの目の前を、ゆらゆら通過した。兄は、ついに、群集と共にバンザイを叫んだ。