Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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さんじゅうねんごのせかい

三十年後の世界

海野 十三

Leggi 三十年後の世界 (さんじゅうねんごのせかい) di 海野 十三 (うんのじゅうざ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 68.140 caratteri · 137 schermate

Aozora Bunko

と、いった。

「ははは。おもしろいことをいう。とにかく月世界には、空気が全くないから、かすむということがない。近くの景色も、遠方の景色も、どっちも同じにはっきり見えるんだ。だから景色にやわらか味というものがない。春雨にかすむとか、朝霧の中から舟が出てくるなどという風景は、この世界には見えない」

なるほど、博士のいうとおりだ。

「先生、いまはなんですか、夜なんですか」

「君はどっちだと思う」

「それが今、分らなくなったんです。山脈がまぶしく輝いていますね。空はまっくらです。地球の満月の夜の景色に似ているけれど、空気のないところでは、どこでも空はまっくらなんでしょう。するとあのまぶしく光る山脈は、太陽の光で照らされているのか、それとも月の光で照らされているのか、どっちだか分らない……」

「待ちたまえ、正吉君。月の光で照らされているというのは、へんだろう。だってここは月の上なんだからね」

「ああ、そうか。これはしくじった」

と正吉は声をたてて笑った。

「月の光じゃなくて、地球の光というのが正しいですね。つまりわれわれが今いる月は、太陽か地球かに照らされてるんでしょう」