Classici giapponesi con furigana
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さんねんめ
三年目
山本 周五郎
Leggi 三年目 (さんねんめ) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.214 caratteri · 22 schermate
――そうか、あの仁太郎が因か。
持っていた匕首を投出すと、いきなり友吉は階段へとんで行った。いつそんなに出たものか、水はもう階段を六分がた浸していた、友吉はくるくると裸になって、その水の中へとび込んだ。
畳が浮き、箪笥が浮いていた。友吉は夢中で戸棚の見当を捜した、狭い家の中なのに、水で浸るとまるで見当が狂う、二度まで息を吐きに水面へ浮んだが、三度めにやっと襖へ手が掛った。
――生きていてくれ。お菊。
友吉は水の中で襖を蹴破った。それから手を伸ばしてお菊の腕と思えるところを掴んだ。けれどもう息が詰って、胸が引裂けそうだった、脳が昏んできた。
――お菊、お菊。駄目だ、友吉は息を吐くためにもう一度水面へ浮いた、そしてすでに、水が天床とすれすれまで上っているのを知った。
「兄哥、兄哥ッ」
角太郎の狂気のような声を聞きながら、四度潜った、神の加護か、浸入する水の力で、お菊の躰が戸棚から押出されていた。友吉は夢中で抱込むと、流れる雑作のあいだを掻分けながら、階段口のほうへ泳いで行った。
「……角!」
「兄哥」
「手を貸せ、お菊さんだ」
角太郎の手へお菊を渡すと、気のゆるみで友吉はずぶりと水の中へ沈んだ、しかしすぐに階段へ捉まって、肩で息を吐きながら二階へ這上った。