Classici giapponesi con furigana
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さんがつのだいよんにちよう
三月の第四日曜
宮本 百合子
Leggi 三月の第四日曜 (さんがつのだいよんにちよう) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 20.826 caratteri · 42 schermate
作業時間のうちに話しすると、ひどくおこられた。
シセンを越えるという語呂の縁起から五銭玉を千人針につける人がある。その五銭玉のついた千人針をサイの室の娘たち一同で飛田に贈ることになった。ほかに五十銭ずつ集める話がきまった。
「おっかさん一人になっちゃうのね、気の毒ねえ」
「――駄菓子屋の方が繁昌してるもの平気さ。そんなに心配なら、てるちゃん、これからちょくちょくお見舞ねがいましょう」
「なんにも、そんなに云わなくたっていいじゃあないの」
てる子が、むきになって涙をためた。
「弓子さんたら……意地わる」
弓子もてる子も、いがみ合いながら気持がしんからふっ切れてはいないのである。
何か焦々した、調子の揃わない気分が娘たちの作業室に拡った。今まで全体が平らに湛えられた水の面のようだった空気が、何とも云えず絡まるものになって、飛田が入って来るとそれを迎えて彼の動く方へ、前へも後へもよこにもたてにも、互にぶつかりながら跟いて動くような神経が群だっているのであった。若い飛田は、その感じから我知らず窮屈になって、みんなの顔を見ないようにして、図板の間を歩いて行く。それがまた室の空気に反射する。