Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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さんりょうきょう

三稜鏡

佐左木 俊郎

Leggi 三稜鏡 (さんりょうきょう) di 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.347 caratteri · 42 schermate

Aozora Bunko

そして、西谷は、それから神経衰弱がますます酷くなり梅雨があがってから間もなく、何処か田舎の方へ、保養に出掛けて行ったのであった。

梅雨があがると、熬りつけるような暑い日が幾日となく続いて、再び又暗鬱な雨がじめじめと降り続いた。そして市中には急性のチブスが猖獗を極めた。私の娘は、この怖ろしい病気に襲われて、僅か三日で死んで了った。私はまるで夢のような気がしてどうしていいかわからなかった。発病と同時に、田舎の方へ保養にいっている西谷にだけは知らせようかとも思ったが、何しろあまりに急激に来たので、そんなことをしている間もなかった。そして火葬にする前に、西谷にだけは、その顔だけでも見せてやり度かったのだが、それには相当の時間がかかるのだし、劇悪性の伝染病で一刻も早く火葬にしなければならないところから、それも出来なかった。私は悲しくなって年甲斐もなく泣き続けた。西谷にその死顔を見せずに葬って了うからばかりではなく、私自身にしても、娘の死体をそのまま火葬にして了うことは堪らない気持であった。私は何等かの形態で娘を残して置き度かった。そこで私は、娘の死体を詰めてある棺をいよいよ焼場へ運ぶと云う一時間ばかり前になってから、夜がまだ明けきらないのと、葬儀人夫がまだ来なかったのを幸いに、棺の中から娘の死体を取出して、仕事場