Classici giapponesi con furigana
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ふざいじぬし
不在地主
小林 多喜二
Leggi 不在地主 (ふざいじぬし) di 小林 多喜二 (こばやしたきじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 69.990 caratteri · 141 schermate
病人を無理に立たせて、両方から肩を組み、中央にして歩かせた。が、他愛なく身体がブラ下ってしまった。頭に力がなく、歩く度にグラグラッと揺れた。
皆はゾロゾロ堤を引き上げた。雑木林の中から、その時だった、突如カン声が上った。帽子の色のちがった別な一隊が、附剣をして「ワアッ、ワァッ!」と叫びながら、さっきの兵隊の後横へ肉迫していた。――不意を喰ってしまった。立ち直る暇もなく、そのまま隊伍を潰して、横へそれると、実りかけている田の中へ、ドタドタと入り込んでしまった。見ている間に、靴の下に稲が踏みにじられてしまった。
「あ、あッ、あ――あッ、あッ!」
田の向うに一かたまりにかたまって見ていた小作人が、手を振りながら夢中に駈けて来るのが見えた。健達も思わず走った。――百姓達には、それは自分の子供の手足を眼の前で、ねじり取られるそのままの酷たらしさだった。
「何するだ!」
「何するだ! 稲※(感嘆符二つ、1-8-75) 稲※(感嘆符二つ、1-8-75)」
然し兵隊のワアッ、ワアッという声に、それはモミ潰されてしまった。士官は分っていて、号令をやめなかった。――もう百姓は棒杭のように、つッ立ってしまうよりない!