Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ふざいじぬし

不在地主

小林 多喜二

Leggi 不在地主 (ふざいじぬし) di 小林 多喜二 (こばやしたきじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 69.990 caratteri · 141 schermate

Aozora Bunko

馬の絵をかいた薬臭いちらしを子供達にくれて、無理矢理に要らない薬袋を置いて行った。――然し、「長い」北海道の冬が待っていることを考えれば、襦袢の切れもうっかり買えないのだ。

正月を少しでも矢張り正月らしく送りたいために、小作人のうち又働きに出るものは出た。――娘達は、大根や馬鈴薯や唐黍などを荷車につけて、H町へ、朝暗いうちに、表をゴトゴトいわせて出掛けて行った。自分達は荷馬車の上に乗った。提灯を車の側にさした。声のいい女は流行歌をうたった。H町へつくと丁度夜が明けかける。

朝市に出るものは出、一軒一軒裏口から「おかみさん」と云って廻って歩くものは歩く。そして昼頃、空になった荷車にのって、今度はキャッキャッとお互いにふざけながら帰ってきた。――売っただけの金で襦袢や腰巻の切れを買ったり、餅屋に寄って「あんころ」などの買い喰いをした。

「のべ源」はH町で青物を売って、少しでも金をつかむと、電信柱に馬をつないで、停車場前の荒物屋に入って、干魚を裂きながら、コップの「もッきり」を飲んだ。

大概の百姓は帰りに寄って「もッきり」をひっかける。――店先には百姓の馬車が何台もつながれていた。