Classici giapponesi con furigana
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ふしょうのあに
不肖の兄
豊島 与志雄
Leggi 不肖の兄 (ふしょうのあに) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.889 caratteri · 39 schermate
敏子
こんな話をすると、お前は妙な疑を起すかも知れない。然し僕は何も、自分だけがお前達と違った父親の子であるなどと、そんな馬鹿げた空想を逞うしたことはないのだ。亡くなった父に対しても、それから殊には母に対しても、そんな冒涜な考えは毛頭懐いてやしない。亡父や兄に似寄りの点を自分の顔貌の中に見出して、どうかすると悲観することはあってもね……。
ただ僕は、心の上で、魂の上で、父や兄とは違った種族のような気がするのだ。何だかこう、天涯の孤客といったような気持なんだ。非常に自由で晴々としているが、また淋しい。そんな時僕は、自分の魂の父親、そういったものを想像する。空なものかも知れないけれど、またすぐどこかその辺に、自然の中に、空低くに、はっきり存在してるようにも思われる。そして僕はその父に対して、強い愛を感じている。
お前が知ってる通り、僕は母を大変愛している。ところが、どうかした心の持ちようで、もっと漠然とした然しもっと深い、第二の母の存在を想う時さえある。だから、父が亡くなって長年になる今、第二の父の存在を想うのも不思議ではないのだ。何という不幸な子だ。