Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ふしょうのあに

不肖の兄

豊島 与志雄

Leggi 不肖の兄 (ふしょうのあに) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.889 caratteri · 39 schermate

Aozora Bunko

それからまた、お前に向って、俺は今夜お前の通夜をしてやるんだ……とね。

お前は呆れ返るだろう。僕だって自分に呆れてる。だからこう大急ぎに話を進めているんだ。

ただ、一つ、僕はビールのコップを差上げながら云った。

「ビールの泡と接吻とは同じようなものさ。唇に残ったかと思えばすぐに消えてしまう。」

するとお前は、恥ずかしがる代りに怒り出したね。母も険しい眼付をした。

「なあに、僕は子供のことを云ってるんだよ。子供は誰にだって接吻させる。大人にそれが出来ないのは、心が汚れてるからさ。」

「じゃあ兄さんは子供なのね。芸者にだって誰にだって接吻させるんだから。」

「そうさ、心はいつまでも子供、それを置いてきぼりにして、身体だけが大人になったものだから、弱ってるんだ。ああつまらない。実につまらない。」

わざと大きく溜息をしてみせた合間に、母は真顔で云った。

「もうお止しなさい、そんな話は。」

僕ははっとして、真顔になった。がお前はまだ怒っていたね……仲直りのしるしに僕と握手をして、※をしゃぶって、それからあの、禿頭の子供の話かなんかで笑い出すまでは。

敏子

その一晩を、僕は台なしにしてしまったような気がするのだ。