Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ふしょうのあに

不肖の兄

豊島 与志雄

Leggi 不肖の兄 (ふしょうのあに) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.889 caratteri · 39 schermate

Aozora Bunko

芸術家になるつもりならそのように、先ず品行から……その、生活から立て直さなくちゃいけない。」

兄は食意地が張っていた。いい加減酔ってるくせに、皿のものをみな平らげ、鍋のものを盛につっつき、そして四五杯も飯を食った。その下歯の、犬歯の前に一本、黒い齲歯があった。歯医者にでもかかったらよさそうなものを、どういうのか、小さくいじけた黒いままに、いつまでも放ってあった。それが、物を食う拍子に、小言を云う拍子に、ちょいちょい覗き出して、僕の気持にさわってきた。

「実際お前のような者には、浜地君は友人として過ぎ者だ。」

「そうかなあ、僕はまた、浜地には僕が過ぎ者だと思っていたんだが……。」

「なにを自惚れてるんだ。」

「じゃあ浜地は僕よりどこが優れてるんだろう。」

「優れてるさ、人格が……。お前みたいに汚れてやしない。」

「汚れてないって……笑わせるなあ。兄さんには見えないんだ。これでも、精神的には僕の方が汚れてやしないぞ。」

僕の云い方が悪かったか知れないが、それを兄は取り上げて、二三度云い合ってるうちに、友人を誣いるのは怪しからん、誣いるのでなければ証明してみろ、と嵩にかかってつっ込んできた。