Classici giapponesi con furigana
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ふたおもてくらべぼたん
両面競牡丹
酒井 嘉七
Leggi 両面競牡丹 (ふたおもてくらべぼたん) di 酒井 嘉七 (さかいかしち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.317 caratteri · 25 schermate
の上からは、まっ白いお月さまが、そっと、のぞき込むのでございました。――のぞきこむ、と申しますれば、私たちのお部屋は、いま申しましたように、ほとんど中庭にあるのでございますから、お部屋の障子を明けておりますれば、時折、お庭掃除の男衆が、箒や熊手などを手に、そっと頭を下げて通りすぎるようなことは、別に不思議でもないのでございますが、そうした下男のお一人に、いかにも、何か目的あるかのように、そっと、お部屋をのぞいては通りすぎるお方があったのでございます。顔をなるべく、見せないようにしていられますものの、どこかでお目にかかったような気がいたしまして仕方なかったのでございました。
「たしかに、どこかでお目にかかった方」
私は、かように、考えつづけて、おりましたが、ふと、思い出すと、
「おお、そう」
と、御隠居さまの方に向き直り、声を低めて、
「伯母さま。今、通って行きました、男衆に、お気づきになりましたか、あの人は、私たちが、出帆いたします時、伯母さまと話していられた、ご親類の方に、そっくりでございます」
と、こんなに申しまして、口の中で、いくら似ているとは言え、あれほど、似ている方があろうことか、と独白いたしました。