Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ふたおもてくらべぼたん

両面競牡丹

酒井 嘉七

Leggi 両面競牡丹 (ふたおもてくらべぼたん) di 酒井 嘉七 (さかいかしち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.317 caratteri · 25 schermate

Aozora Bunko

母は別に、私を師匠にして、自分のあとをつがせる、という様な考えをもっていた訳でもございますまいが、子の私は、見まね、聞き憶えで、四つの年には、もう、春雨なんかを踊っていたそうでございます。そのころから、ずっと、母の手すきには、何かと教わっていたのでございますが、私が母の替りにお弟子さんを取るようになりましたのは、丁度、私が十七の春、とても、気候の不順な年でございましたが、ふとした事から、母が二、三ヶ月臥った事が、きっかけになったのでございます。それからは母がよくなりましても、お子供衆のお稽古は私がいたしていたのでございます。その内に、何時の間にか、母親は楽隠居、そして、私が全部お稽古をいたす様になったのでございました。しかし、何分にも、お稽古人はほとんど全部がお子供衆、月々の収入はたいした事もございませんでしたが、それにいたしましてもお子供がたのお稽古人は、いつも十四、五人もございましたので、私たち親娘は、ごく気楽に暮していたのでございます。

丁度、私がお稽古をする様になりましてから、半年あまりも経った頃でございましたでしょうか、私は、あの恐怖にも似た気もちを、今だに、忘れることが出来ないのでございます。