Classici giapponesi con furigana
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ふたおもてくらべぼたん
両面競牡丹
酒井 嘉七
Leggi 両面競牡丹 (ふたおもてくらべぼたん) di 酒井 嘉七 (さかいかしち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.317 caratteri · 25 schermate
買いものと申しましても、温泉町のことでございますから、宿の部屋着のままで、およろしいではございませんか、と、宿のお女中も申したのでございますが、それにいたしましても、若い娘の身で、そうしたことは、あまりにも、はしたないと考えまして、旅だちの前に御隠居さまに買っていただきました、島原模様の振袖に絵羽模様の長襦袢、それに、塩瀬の丸帯まで、すっかり、来たときそのままの身仕度をととのえまして、
「では、伯母さま、ちょっと行かせていただきます」
と、ご挨拶いたし、お部屋を出たのでございます。ところが、私といたしましたことが、宿を出て、道の一、二丁も参りましたとき、思いついたのでございますが、御隠居さまの御用を承わって来ることを、失念いたしていたのでございます。
(これは、大変なことを、御隠居さまとても、お土産を買っておかえりにならねばなるまいに、自分のことだけを考えて、御隠居さまのご用事を、つい忘れてしまいました)
私は、こんなに自分で申しながら、そして、われと我が粗忽さに、思わず、顔を赤らめながら、宿のお女中には、表で待っていただき、お部屋にとってかえしたのでございます。