Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぼしぞう

久生十蘭短篇選

久生 十蘭

Leggi 久生十蘭短篇選 (ぼしぞう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 48.344 caratteri · 96 schermate

Aozora Bunko

癪でしょう。あたしもついムキになって、「あなたは恩知らずよ。あたしたちに、あんなに世話になっておきながら、たよりひとつよこさないなんて、あんまりバカにしているじゃないの。今日はあなたをとっちめに来たんだから、そう思ってちょうだい」とキッパリとやりつけてやると、志貴子は、困ったような顔でもするどころか、「あの節は、木津さんのことで、あんじょうお助けをいただきまして、いちどお礼にあがらんならんところでしたねんけど、東京方面では、うち盲腸炎で死んだことになっていて、みなさんに年忌までもしてもろた手前、照れくそうて、手紙みたいもん、書けしません。それに、ひょっとして、木津さんの手にでも入ったら、それこそえらい騒動になって、あなたや咲子さんにご迷惑をかけると思って、つつしんでおりましたねんわ」まるで恩に着せるような言い方。「ご殊勝なことだけど、それくらいつつしみのあるひとが、ヒョコヒョコ東京へ出てきて、あたしたちに迷惑をかけるのは、いったいどういうことなのかしら。あたしにしろ、咲子さんにしろ、欺し役までひきうける義理はなかったんですけど、あんたのお父さまが、わざわざ東京へ出ていらして、木津さんの思召しはありがたいが、先々代からの掛りあいがあって、たとえ久能の店をつぶしても、志貴子をさしあげるわけにはいかない。