Classici giapponesi con furigana
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ぼしぞう
久生十蘭短篇選
久生 十蘭
Leggi 久生十蘭短篇選 (ぼしぞう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 48.344 caratteri · 96 schermate
凡下や一般の庶民は別として、公家堂上家の生活は風流韻事に耽けるか、仏教の信仰にうちこむか、いずれにしてもスタイルが万事を支配する形式主義の時代だったが、そういうなかにあって、泰文はたしかに一風変った存在だった。詩にも和歌にも、わかりもしない文学じみたことは一切嫌い、琵琶や笛の管弦の楽しみも馬鹿にして相手にせぬばかりか、かつて自分の手で拍手を打ったことも、自分の足を寺内へ踏みこませたこともないという徹底した無信心で、そのためにも評判を悪くした。実際よりも何倍かひどい誤解を受けつづけたのは、そういうひねくれ根性のせいだったが、そのくせ侮辱にたいしてはおそろしく敏感で、馬鹿にされたと感じると、三月ぐらいの間に刺客をやって、かならず相手を殺すか傷つけるかした。
このほかにも泰文には人の意表に出るような奇怪な振舞が多かった。泰文の身体のなかに陳腐な習俗に耐えられない、ムズムズする生物のようなものがいて、新奇で、不安な感覚を与えてくれるような事柄にたえず直面していないと生きた気がしないといったように、恥も情もなく、野性のままの熱情をむきだしにして、奔放自在にあばれまわっていた。