Classici giapponesi con furigana
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ぼしぞう
久生十蘭短篇選
久生 十蘭
Leggi 久生十蘭短篇選 (ぼしぞう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 48.344 caratteri · 96 schermate
花世が母親似だとしたら、朝霞も当時としては美人の部類に入るくらいのことはあったろうと想像されるが、朝霞というひとも朝鮮から移ってきた秦氏の血をうけ、外来民特有のねばり強い気質をもっていたようである。泰文が朝霞を迎えたのは、大金持の娘と結婚するという功利的な打算から出たことで、女体にはたいした興味がなく、朝霞のほうも当然のことと諒承して、毎夜のように対ノ屋で演じられる猥がわしい馬鹿さわぎを眺めても怨みがましいようすもせず、庭の北の奥に一劃だけ分離している葵ノ壺という別棟で、ひっそりと六人の子供を育てながら、庭の花のうつりかわりを見て、時がすぎていくという感覚をおぼろに感じる、植物さながらの閑寂な日々を送っていたのである。
泰文は吝嗇というのではないが、徹底した自己主義者で、金銭のことにかけては前例のないほどキッパリした割切りかたをし、子供の一代に金をかけることなどになんの意義も感じていなかった。あるだけの金は自分ひとりのもので、子供らなどに使われるのはこのうえもない損だと思っているふうで、子供にかかる費いなどは青銭一枚出すのではなかった。朝霞は父や兄から泰文の評判をきき、おおよそそんなことだろうと見こみ、嫁資のほかに自分の身につくものをこっそり持ってきたので、子供たちの養育費はすべてその土地のあがりから出し