Classici giapponesi con furigana
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ぼしぞう
久生十蘭短篇選
久生 十蘭
Leggi 久生十蘭短篇選 (ぼしぞう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 48.344 caratteri · 96 schermate
杜松子は檐の陰になった濡縁の近くに浅く坐って庭を見ていたが、滋子のほうへふりかえって、
「この花は萩でしょうか」
としずかにたずねた。滋子はそばへ立って行って、
「ええ、そうよ。あれが山萩、むこうのは豆萩……木萩……あちらが千代萩。でもあれは四月でなくては咲きませんの」
杜松子は顔をかしげるようにして萩の花むらをながめながら、
「花もサンパチックないい花ですけど、葉もいやしい葉ではありませんのね」
といった。滋子は思わず笑いだして、
「萩の葉をほめたのは、あなたがはじめてかも知れないわ。そういえばフランスには萩はなかったようでしたね」
「レスペデーズって、いくらか似たようなのがありますけど、まるっきりべつなものですわ」
そういうと流れるように瞳をよせて、
「日本にだけあって、フランスにない花を見たくなると、息苦しくてどうしていいかわからなくなるようなことがあります。むかし母と、土筆を摘みによくエトルタへまいりましたわ」
「フランスでは土筆のことを鼠の尻尾というんでしょう」
「あたしたちが土筆を摘んでいると、村の人が通りかかって、リアン・ド・コア・マンジェ(この国には食えるようなものがないからね)とからかって行きますのよ」