Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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こじきがくせい

乞食学生

太宰 治

Leggi 乞食学生 (こじきがくせい) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 33.682 caratteri · 68 schermate

Aozora Bunko

眼は、それでもやはり習慣的に池の面を眺めている。二尺ちかい緋鯉がゆらゆら私たちの床几の下に泳ぎ寄って来た。

「きのうまでは、学生だったんだ。きょうからは、ちがうんだ。どうでもいいじゃないか、そんな事は。」少年は、元気よく答える。

「そうだね。僕もあまり人の身の上に立ちいることは好まない。深く立ちいって聞いてみたって、僕には何も世話の出来ない事が、わかっているんだから。」

「俗物だね、君は。申しわけばかり言ってやがる。目茶苦茶や。」

「ああ、目茶苦茶なんだ。たくさん言いたい事も、あったんだけれど、いやになった。だまって景色でも見ているほうがいいね。」

「そんな身分になりたいよ。僕なんて、だまっていたくても、だまって居れない。心にもない道化でも言っていなけれや、生きて行けないんだ。」大人びた、誠実のこもった声であった。私は思わず振り向いて、少年の顔を見直した。

「それは、誰の事を言っているんだ。」

少年は、不機嫌に顔をしかめて、

「僕の事じゃないか。僕は、きのう迄、良家の家庭教師だったんだぜ。低能のひとり娘に代数を教えていたんだ。僕だって、教えるほど知ってやしない。