Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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よげん

予言

久生 十蘭

Leggi 予言 (よげん) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 14.000 caratteri · 27 schermate

Aozora Bunko

それからいくどか覚醒したが、そのたびにアブサントをひっかけ、ジアールを飲み、とうとう夜も昼もわからなくなってしまった。

何度目かに、ふと眼をさまし、朦朧とあたりを眺めると、部屋の家具の配置が変っていて、どうも自分の船室のようでない。はてなと腰を浮かしかけると、なにか膝からとり落ちて、床で音をたてた。見ると、石黒が送りつけてよこした、れいの二二番のコルトだった。安部はあわててヒップへしまいこみ、いつの間にこんなものを持ちだしたのだろうと、重い頭で考えているうちに、なんともつかぬ情景をぼんやりと思いだした。

知世子が大きな眼で安部を見ながら、

「あなたは、はじめっから、あたしを殺すつもりでいらしたのね。今日まで待たなくとも、披露式の晩に、お殺しになればよかった」

といった。あれはなんのことだったのだろう。

正面の寝室の扉がよくロックされず、船がローリングするたびに、ひとりで開いたり閉ったりしている。気中がして、中をのぞいて見ると、寝台の上にフェルナンデスが俯伏せになり、知世子のほうは、ひどくちぐはぐな恰好で床の上にのびている。馬鹿な念は入れなくとも、二人の魂魄はもう肉体にとどまっていないことが、一と眼でわかるような状態になっていた。