Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

ふたつのいえをつなぐかいそう

二つの家を繋ぐ回想

宮本 百合子

Leggi 二つの家を繋ぐ回想 (ふたつのいえをつなぐかいそう) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.480 caratteri · 37 schermate

Aozora Bunko

その内に、九月も下旬になった。

或日の午後、オートバイでK男が来て、今晩、是非二人で来いと、伝言を齎した。

勿論、前の続きであるとは推察される。母はきっと、二人を並べて、もう一度、みっしり自分の考を明にされたいのだろう。物事を、或時、ぼんやりさせて置けない彼女の性格としては無理もない。然し、私は、如何うしたらよいのだろう。幾度、母の愁訴、憤怒にあっても、心の態度は、もう定って居る。一層解って貰えるように、一層、心に入り易いように、先日話した諸点を、又繰返すほかないのである。

二人は陰気な心持で、夜店の賑やかな肴町の大通りを抜けた。

H町の通りは、相変らず暗い。ずっと右手に続いた杉林の叢の裡では盛に轡虫が鳴きしきり、闇を劈くように、鋭い門燈の輝きが、末拡がりに処々の夜を照して居る。

父上は、まだ帰って居られなかった。いつもの正面の場処から、母が、隔意のある表情で、

「いらっしゃい」

と軽く頭を下げられる。

自分は居難い心持がした。彼女が何を思って居られるのか判らず、周囲の人も亦、知ったような、判らないような、何処となく不自然な雰囲気を以てかこんで居るのである。