Classici giapponesi con furigana
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ふたつのにわ
二つの庭
宮本 百合子
Leggi 二つの庭 (ふたつのにわ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 195.492 caratteri · 389 schermate
素子も伸子も知った名前でなかった。
「なんだろう」
とよが、気味わるそうなひそひそ声で告げた。
「三人づれの方でございます――ぼうぼう髪をのばして……何だか人相のよくない方なんですけれど……」
素子が、少しおびえた心持を、おこったような顔の上にあらわして、
「なんだい!」
といった。伸子には、いくらか思い当るところがあった。その時分、アナ・ボルということがいわれていて、黒といえばボルの赤に対してアナーキストのシムボルであることは知っていた。そういうグループの人々が、丸の内辺の会社や有名な人々のところへ、寄附金を要求してゆくことが流行していることも知っていた。近年新しく小説をかき出している若い婦人作家がアナーキスト仲間の生活を描いている作品で、そういうことをよんだ覚えがあった。
「わたし出てみる」
伸子が玄関へ出て行ってみると、たたきのところにとよのいったとおり三人の若い男たちが突立っていた。どのひとの髪もぼうぼうとのびっぱなしで、じじむさいのをてらいの一つにしている高校生のようにきたなかった。どのひとものどのところで丸くエリの立った茶色だの黒だののルバーシカを着て、よごれ古びたズボンに下駄や靴やまちまちの足もとである。