Classici giapponesi con furigana
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ふたつのにわ
二つの庭
宮本 百合子
Leggi 二つの庭 (ふたつのにわ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 195.492 caratteri · 389 schermate
「それはそうだけれど……」
伸子には保がこの家の生活の中にあって日々夜々感じているにちがいない複雑な心持、それに対する青年らしい批評のきびしさがわかるように思えた。保は、自分の暮しで、この家の中に、いいと思える暮しかたを作り出そうとしているらしかった。保の室の入口に書きつけられている Meditation という文句が、新しい意味で伸子のこころにせまった。教科書と園芸の本ばかりが詰っていた本箱に、今みれば「出家とその弟子」という戯曲がまじって背を見せている。Meditation ――伸子は、一層そのモットウに警戒を覚えた。
「あの本、どこにあった? 古い本だわ、わたしが昔よんだんだもの」
その時分も評判ではあったが、感傷的な戯曲としてもまた有名であった。
「面白いと思う?」
「さあ――でも、僕わかるような気がするな。あの戯曲のいっているように、何ごとも許す心持って尊いと思う」
「ね、保さん」
伸子は、つき動かされたように保の絣の筒袖に手を置いた。
「あなた、もっとお友達とどしどしおつき合いなさいよ。あなたのようなひとは問題をどっさりもっているにきまっているんだし、ここの家は問題をもっている家なんだもの――それでいいのよ。