Classici giapponesi con furigana
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ふたつのにわ
二つの庭
宮本 百合子
Leggi 二つの庭 (ふたつのにわ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 195.492 caratteri · 389 schermate
伸子はすぐそう思った。
「じきすむかしら」
「すむって――勉強してるんですよ」
「土蔵で?」
伸子は、頸がのびたような眼つきをした。
「何しに土蔵なんかでやるの?」
おかしいの! 伸子はそのひとことを口のうちでつぶやいた。土蔵のどこが、勉強場所として心持よいというのだろう。
「あすこの地下室は涼しくっていい気持なんだってさ、それにしずかでいいって――それゃしずかなことはしずかだろうさ」
多計代はユーモラスにうけとっているらしく、本当にあのひとは、という風に笑った。
大きな音をたてて戸車のころがる重いくぐりの網戸をあけて、伸子は土蔵へ入って行ってみた。入ったところの板じきには、古椅子だの屏風箱だのが積まれ、東西についた窓が大きいから内部は明るいけれども、永年の間につもった塵のにおいがしている。西側の隅に鍵のてに手すりがあって、そこのあげぶたがたたまれ、半地下室への階子口があいていた。伸子は、その辺にはなおどっさりつもっている塵をそっと草履でふみつけるようにして歩いて、その階子口へ行き、少しのぞきこむようにして声をかけた。
「保さん、いる?」
へんじがなかった。