Classici giapponesi con furigana
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ふたつのみち
二つの途
豊島 与志雄
Leggi 二つの途 (ふたつのみち) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 51.102 caratteri · 104 schermate
」
「僕はこう思ってる、凡て存在するものには生命があると、もしくは生命を与え得ると。存在の本質に探り入ると、凡てが生命から発する愛のうちに一つに融け込むものだ。然し一方に於ては、死そのものだって肯定出来るだろうじゃないか。生命と死とは存在の両面だからね。で僕は、僕の画面を死の息吹きで塗りつぶそうと思った。所が実際描いた結果を見ると、樫の幹は本当に枯れたものになってはいない。表皮だけが枯れて、中は生きている。春になったら芽を出しそうなものになっている。叢も芝生もそうだ。地面からも、物を芽ぐます力が泌み出している。陰惨な空からも、晴々とした明るい蒼空を思わする色合がどうしてもぬけない。作意と出来上った結果とが背馳してしまうんだ。僕の製作は何物かに裏切られている。僕の心は何物かに裏切られてるようだ。僕は今それに苦しんでいる。」
木下は云ってしまうと、両手を頭の下にあてがって、長々とねそべった。
啓介は云った。
「それは君、君の心の内に在るものが君の製作を裏切るんだろう。」
「然し僕は、」と云って木下は一寸顔を上げた、「心の中にそんな変なものは何も持ってやしない。