Classici giapponesi con furigana
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にじゅうしのひとみ
二十四の瞳
壺井 栄
Leggi 二十四の瞳 (にじゅうしのひとみ) di 壺井 栄 (つぼいさかえ) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.
N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 113.429 caratteri · 227 schermate
まるで、ペスト菌でもまぶれついているかのように、あわてて焼かれた。茶色っぽい煙が天井にのぼり、細くあけたガラス戸のあいだから逃げていった。
「あ、焼かずに警察へ渡せばよかったかな。しかし、そしたら大石先生がひっぱられるな。ま、とにかく、われわれは忠君愛国でいこう」
教頭のことばが聞こえなかったように、大石先生はだまって煙のゆくえを見ていた。
翌日の新聞は、稲川先生のことを大きな見出しで「純真なる魂を蝕む赤い教師」と報じていた。それは田舎の人びとの頭を玄翁でどやしたほどのおどろきであった。生徒の信望を集めていたという稲川先生は、一朝にして国賊に転落させられたのである。
「あ、こわい、こわい。沈香もたかず、屁もこかずにいるんだな」
つぶやいたのは年とった次席訓導だった。ほかの先生はみな、意見も感想ものべようとはしなかった。そんななかでひとり大石先生は、大げさな新聞記事のなかの、わずか、四、五行のところから目がはなれなかった。そこには、稲川先生の教え子たちが、ひとり一つずつの卵をもちよって、寒い留置場の先生に差し入れしてくれと、警察へ押しかけたことが書かれていたのだ。