Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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にひゃくとおか

二百十日

夏目 漱石

Leggi 二百十日 (にひゃくとおか) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 29.466 caratteri · 60 schermate

Aozora Bunko

「よし、今顔を出すから待っていたまえよ」

「うん、待ってる、ここだよ」と圭さんは蝙蝠傘で、崖の腹をとんとん叩く。碌さんは見当を見計って、ぐしゃりと濡れ薄の上へ腹をつけて恐る恐る首だけを溝の上へ出して、

「おい」

「おい。どうだ。豆は痛むかね」

「豆なんざどうでもいいから、早く上がってくれたまえ」

「ハハハハ大丈夫だよ。下の方が風があたらなくって、かえって楽だぜ」

「楽だって、もう日が暮れるよ、早く上がらないと」

「君」

「ええ」

「ハンケチはないか」

「ある。何にするんだい」

「落ちる時に蹴爪ずいて生爪を剥がした」

「生爪を? 痛むかい」

「少し痛む」

「あるけるかい」

「あるけるとも。ハンケチがあるなら抛げてくれたまえ」

「裂いてやろうか」

「なに、僕が裂くから丸めて抛げてくれたまえ。風で飛ぶと、いけないから、堅く丸めて落すんだよ」

「じくじく濡れてるから、大丈夫だ。飛ぶ気遣はない。いいか、抛げるぜ、そら」

「だいぶ暗くなって来たね。煙は相変らず出ているかい」

「うん。空中一面の煙だ」

「いやに鳴るじゃないか」

「さっきより、烈しくなったようだ。――ハンケチは裂けるかい」

「うん、裂けたよ。