Classici giapponesi con furigana
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にとうしゃにのるおとこ
二等車に乗る男
豊島 与志雄
Leggi 二等車に乗る男 (にとうしゃにのるおとこ) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6342 caratteri · 13 schermate
すると、庭の植込に一筋の光がさしている。おや……と思って見上げると、庭の板塀の彼方、小さな通りを越した、向うの家の窓から、赤々と電気の光がさしている。窓と云っても、四五尺の高さの広いもので、その窓の四枚の雨戸が、所々五六寸ずつ開け放してあって、その隙間から明るい室の中が見えていた。なおよく見ると、室の中に髪の毛の長い青年がつっ立って、あちこちに歩き廻っていた。
私は不思議に思って、暫く眺めていた。すると青年は、室の中をぐるぐる、いつまでも同じように歩き続けている。いつまでも、いつまでも、歩き続けている。
とうとう自分の方が根気負けがして、そっと戸を閉めて床にはった。けれども、眼が冴えて眠れなかった。あの人は何をしてるんだろう……と、そんなことが頭に絡みついて、夢現の中にまで考えられた。
それから長くたってから、私はまた起き上って、雨戸を開けて覗いてみた。すると向うの窓の中の人は、まだ同じように室の中をぐるぐる歩き廻っていた。いつまで見ていてもきりがない。で私はまた寝てしまった。
そんなことがあってから、私は向うの二階の人に、それとなく注意を配った。