Classici giapponesi con furigana
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にじゅうしんぞう
二重心臓
夢野 久作
Leggi 二重心臓 (にじゅうしんぞう) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 65.188 caratteri · 129 schermate
しかしイクラ忠告をしても止めないばかりでなく、県内の有力者の勢力なんかを利用して盛んに高価い絵を売り拡げて行くので、俺は実をいうとホントウに柳仙の厚顔さを憎んでいた。ナンノ柳仙を見付から追出すくらい何でもなかったんだが、ただお前の可愛さにカマケていたばかりなんだ。それから先の事は自然の成行で、大和の国に居る柳仙の親類なんかは一人も寄付かなかったんだから仕方がない。生蕃小僧から怨まれる筋合いなんか一つもないばかりでなく、俺はお前を無事に育て上げるために、生命がけで闘わなければならない身の上になってしまった。俺が朝鮮に隠れてピストルの稽古をして来た事を、生蕃小僧が知っていなかったら、俺もお前もトックの昔に生蕃小僧にヤッツケられていたろう。
……ところが、それから後、四五年経つと流石の生蕃小僧も諦らめたと見えて、バッタリ脅迫状を寄越さなくなった。彼奴から脅迫状が来るたんびに俺はすこしずつ金を送ってやる事にしていたんだから不思議な事と思ったが、もしかすると自分の怨みが藪睨みだったのに気付いたのかも知れない。それとも病気で死ぬかどうかしたのじゃないかと思うと、俺は急に気楽になって本当の活躍を初め、今の地位を築き上げたものなんだが、その十幾年後の今日になって突然に又生蕃小僧から脅迫状が来はじめたのだ。