Classici giapponesi con furigana
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にせんどうか
二銭銅貨
江戸川 乱歩
Leggi 二銭銅貨 (にせんどうか) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 17.143 caratteri · 34 schermate
「ウン、そうだな」
彼は直ぐに立上って、ギシギシいう梯子段を下へ降りて行ったが、軈て、一枚の折目から破れ相になった東京地図を借りて来た。そして、又机の前に坐ると、熱心な研究を続けるのであった。私は益々募る好奇心を以て彼の様子を眺めていた。
下の時計が九時を打った。松村は、長い間の研究が、一段落を告げたと見えて、机の前から立上って私の枕頭へ坐った。そして少し言いにく相に、
「君、一寸、十円ばかり出して呉れないか」
と云うのだ。私は、松村のこの不思議な挙動については、読者にはまだ明してない所の、私丈けの深い興味を持っていた。それ故、彼に十円という、当時の私共に取っては、全財産の半分であったところの大金を与えることに、少しも異議を唱えなかった。
松村は、私から十円札を受取ると、古袷一枚に、皺くちゃのハンチングという扮装で、何も云わずに、プイとどこかへ出て行った。
一人取残された私は、松村の其後の行動について、色々想像を廻らした。そして独りほくそ笑んでいる内に、いつか、うとうとと夢路に入った。暫くして松村が帰って来たのを、夢現に覚えていたが、それからは、何も知らずに、グッスリと朝まで寝込んで了ったのである。