Classici giapponesi con furigana
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きょうのしき
京の四季
和辻 哲郎
Leggi 京の四季 (きょうのしき) di 和辻 哲郎 (わつじてつろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7914 caratteri · 16 schermate
気になり始めると、いやなのは緑の色調ばかりではなかった。秋になって、樹々の葉が色づいてくる。その黄色や褐色や紅色が、いかにも冴えない、いやな色で、義理にも美しいとはいえない。何となく濁っている。爽やかさが少しもなく、むしろ不健康を印象する色である。秋らしい澄んだ気持ちは少しも味わうことができない。あとに取り残された常緑樹の緑色は、落葉樹のそれよりは一層陰欝で、何だか緑色という感じをさえ与えないように思われる。ことに驚いたことには、葉の落ちたあとの落葉樹の樹ぶりが、実におもしろくなかった。幹の肌がなんとなく黒ずんでいてきたない。枝ぶりがいやにぶっきら棒である。たまに雪が降ってその枝に積もっても、一向おもしろみがない。結局東京の樹木はだめじゃないか。「森の都」だなどと、嘘をつけ、と言いたくなるほどであった。
こんなふうにして不愉快な感じがいつまでも昂じて行くとすれば、閉口するのはほかならぬ私自身であって、東京ではない。これは困ったことになったと思っていると、幸いなことに東京の春がそれを救ってくれた。樹木に対して目をふさぐような気持ちで冬を過ごしてしまうと、やがて濠ばたの柳などが芽をふいてくる。