Classici giapponesi con furigana
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ひとのくび
人の首
高村 光太郎
Leggi 人の首 (ひとのくび) di 高村 光太郎 (たかむらこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 2835 caratteri · 6 schermate
むしろ痛々しい程に感ずる時もある。
人間の首ほど微妙なものはない。よく見ているとまるで深淵にのぞんでいる様な気がする。其人をまる出しにしているとも思われるし、又秘密のかたまりの様にも見える。そうして結局其人の極印だなと思わせられる。どんな平凡らしく見える人の首でも実に二つと無いそれぞれの機構を持っている。内心から閃めいて来るものの見える時は其平凡人が忽ち恐ろしい非凡の相を表わす。電車の中でも時々そういう事を見る。
人の首の中で一番人間の年齢を示しているのは項部である。所謂首すじである。顔面では年齢をかくせるが首すじではごまかせない。あらゆる年齢に従って首すじは最も微妙に人間らしい味を見せる。赤坊のぐらぐらな項。小学校時代の初毛の生えた曲線の多い首すじ。殊にえり際。大人と子供との中間の人の首すじを見るのは特別に面白い。大人になりかかって行って、此所にだけまだ子供が残っている青年などは殻から出たての蝉の様に新鮮である。水々しい若い女の首すじの美は特に私が説く迄もあるまい。色まちの女が抜衣紋にするのは天然自然の智慧である。恋する女に向って最後の決心をする動機の一つが其の可憐な首すじを見た事にあるという話をよく聞く。