Classici giapponesi con furigana
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じんがいまきょう
人外魔境
小栗 虫太郎
Leggi 人外魔境 (じんがいまきょう) di 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 101.713 caratteri · 205 schermate
昆虫霧で、日中さえ薄暮のように暗い。その下は、ただ鹹沢の結晶が瘡のようにみえるだけで、旧根樹の枯根がぼうぼうと覆うている。
その根をゴリラのように伝わることが出来ればいいが、人間で、おまけに今の私にはそんな体力はない。まったくのところ、どこかの一隅に有尾人がいるかもしれない。またどこかに、象の腐屍がごろごろ転っていて、それを食う群虫がその昆虫霧かもしれない。しかし、この一局部にいてはなにも分らないのだ。ただ、ここが森の墓場であり、荒廃と天地万物が死を囁いてくる、場所であることだけは知っている。
私はきょうめずらしく鵜※をつかまえた。よくあなたがドドを馴らして、木のポストに入れさせていた封筒のことを思い出したのだ。私はそれで、この手紙を書いてその封筒にいれ、鵜※に結びつけて放そうと思う。運よく……、そんな機会は万一にもあるまいが、もし、あなたの手に入ればそれは愛の力だ。
私は、この墓場に埋まる最初の人間として……悪魔の尿溜にいり込んだはじめての男として……また、ゴリラと親和した唯一の人として……ことに、あなたへの献身をいちばん誇りとする……。
いま、午後だが大雷雨になってきた。